建設業の許可は決して簡単には下りません。
様々な要件をクリアし、厳しい審査を受けてようやく、取得できるのです。
許可を取得することにより、元請からの仕事が受注しやすくなったり、工事受注金額の上限がなくなるため売上の拡大も見込めます。
更には、公共工事入札にも参加できるようになるなど、多くのメリットがあります。
しかしその反面、許可取得後には様々な義務を課せられることになります。
国からのお墨付きがもらえる反面、その義務を履行しなかった場合には、厳しい処分が待っているのです。
これらは法定されている義務です。
違反した場合には許可の取り消しや営業停止など厳しい処分の対象になりますので、注意してください。
処分内容は役所のホームページでも公表されます。
処分されたことを隠すことはできず、せっかく築いてきた社会的信用を失う恐れがあります。
許可を取った後は何もしなくて良い、自動で更新されるなど、そのような甘い許可ではありません。
建設業許可は決められた義務を守っているからこそ社会的信用を得ることができる、価値のある許可なのです。
それでは、それぞれの義務とその罰則について見ていきましょう。
建設業許可を取得した後、許可に関する事項に変更があった場合、例えば経営業務管理責任者に変更があった場合などには決まった様式で許可を受けた役所に対して報告をしなければなりません。
また、決算報告として毎年事業年度終了後4ヶ月以内に変更届出書を提出する必要があります。
変更があった場合に必要な届出、毎年決まった届出がありますので、忘れずに行うようにしましょう。
許可取得後の手続きについては、下記をご覧ください。→許可取得後はどのような手続きが必要?
建設業許可業者は、公衆の見やすい場所に許可票(標識)を掲げなければなりません。
これは建設業の許可を受けた業者によって建設工事が適正になされていることを対外的に明らかにするためです。
よく建設工事現場で「建設業の許可証」と書かれている看板を目にすることがあると思いますが、許可票の掲示にはこの「建設工事現場に掲示する許可票」の他に「営業所に掲示する許可票」の二種類あります。
つまり、各建設工事現場と店舗(本店支店、営業所)の両方に掲示することが必要です。
この許可票は役所からもらえるものではありませんので、許可業者が自ら購入することになります。
更新許可を申請する際には、店舗に掲げた「建設業許可標識」を写した写真の添付が必要になります。
もちろん許可票の記載事項や寸法は定められたものでなければなりません。
店舗に掲示する許可票:縦35cm以上×横40cm以上
建設工事現場に掲示する許可票:縦40cm以上×横40cm以上
許可票は元請や下請の区別なく、公共工事や民間工事を問わず掲示する必要があります。
ただし、材質に関しての規定はありませんので、判読できないものでなければ素材や色は何でも問題ありません。
建設業許可業者は、適正な経営を行っていく上で、請負契約に関する事項を記載した帳簿を営業所ごとに備え付け、5年間保存しなければなりません(発注者と締結した住宅新築工事に係るものは10年間保存)。
帳簿には決まった様式はありませんが、営業所の代表者の氏名、請負契約に関する事項など記載しておかなければならない内容が決まっています。
帳簿への記載内容は細かく定められているため、きちんと把握しておく必要があります。
また、契約書など添付しておかなければならない書類も定められています。
これらは元請や下請、請負代金の額にかかわらず全ての建設業者が対象とされるものです。
建設工事では、請負契約の当事者間の力関係が一方的であることにより、契約条件が一方にだけ有利に定められてしまいやすく、請負人の利害を害することがしばしば見受けられることがあります。
発注者と受注者との間で行われる請負契約の締結に関しては、当時者間の契約の適正化を図るため、適正な契約を締結することが義務付けられています。
請負契約は原則として工事の着工前に行わなければならない(着工前書面契約)、請負契約書には定められた事項を記載しなければならない(契約書面への記載必須事項の規定)など、様々な規定があります。
また、工事の注文者としての有利な立場を利用して、不当に安い金額で契約したり、工事に使用する資材を請負人に購入させたりといった行為をすることも禁止されています。
建設業法では請負契約は書面で行うことが義務づけられています。
契約書を交わしていないために後日紛争に発展する原因ともなりかねません。
慣習により口約束で済ますこともあるかもしれませんが、建設業法に違反する行為だと認識しておきましょう。
建設業許可業者は、元請下請の区別なく工事施工の技術上の管理をつかさどる者として、工事現場には「主任技術者」を配置しなければなりません。
特定建設業者であれば主任技術者ではなく、「監理技術者」を置かなければなりません。
また、請負代金が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上の工事では、主任技術者または監理技術者は、工事現場ごとに専任でなければならず、他の工事現場との兼務することはできませんので、注意してください。
自らが請け負った建設工事を、一括して他人に請け負わせることを「一括下請負」といいます。
建設業者が一括下請負を行うことは、原則、禁止されています。
特定建設業者が一定の工事を請け負う場合には、施工体制台帳や施工体系図の作成が義務づけられます。
また、工事に係る全ての下請業者に対する法令遵守の実施など、指導を行うことが求められます。
※下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上の場合
下請負人の利益保護を目的として、下請代金の支払いに関する規定が設けられています。
元請負人は注文者から請負代金の支払い(出来高払い又は竣工払い)を受けた日から1ヶ月以内に工事を施工した下請負人に対して、下請代金を支払わなければならないとされています。
下請代金の支払はできる限り早く行うことが望ましいのであって、1ヶ月以内であればいつでもよいというものではなく、出来る限り短い期間内に支払われなければなりません。
現金ではなく手形で支払う場合であっても、手形期間は120日以内のできるだけ短い期間を設定することが望まれています。
特定建設業者は一般建設業者とは別に規定が設けられていて、「注文者から支払いを受けたかどうかにかかわらず」工事完成の確認後、下請負人から引渡しの申出があったときは、申出の日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません。
ですので、特定建設業者については、「注文者から請負代金の支払いを受けた日から1ヶ月以内」か「引渡しの申出から50日以内」のいずれか早い日が実際の支払日になります。
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