手形とは、「指定されたある特定の未来日」に「指定された金額」を支払うことを約束した金券のようなものです。
個人間の取引ではほぼ使用されることはありませんが、企業間での取引で使用されることがあります。
例えば、会社が今手元に現金はないけれど商品を購入したい場合、1ヶ月後に支払うことを約束した手形を振り出して取引先に渡します。
取引先は手形に記載された金額を1ヶ月後に受け取ることができます。
個人が商品を購入する際に現金で支払わずクレジットカードを使用すると1ヶ月後に銀行口座から自動的に商品代金が引き落とされます。
手形はそれとよく似た仕組みです。
また、手形とよく似ているのが小切手です。どちらも現金としての役割を果たしますが、小切手は金融機関に持っていくとすぐに現金化されるのに対して、手形は指定された支払期日にならなければ現金化することができません。
手形を振り出してから支払われるまでの期間は、だいたい1ヶ月から4ヶ月が一般的です。
手形は、支払いを引き延ばす手段として使用されます。
商品を購入する際に現金がなくても購入でき、更に支払いを延期できることがメリットです。
会社はその間の資金繰りをコントロールできます。
通常会社に現金がなければ、金融機関から借入や融資を受けることになり、金融機関へ利息を支払う必要がありますが、手形には利息が付きませんのでその点でもメリットがあります。
手形を受け取った側のメリットは、手形があれば支払期日に商品代金を回収することができますが、早急に現金化の必要があれば、支払期日前の手形を金融機関等で換金してもらうことができます。
つまり手形を銀行や手形割引事業者に買い取ってもらって、現金を入手することができます。
ただし、換金には手数料や割引料が引かれますので、額面よりも少ない金額を受け取ることになります。
これを手形割引と言います。
手形のデメリットは、もし支払期日に手形通りの支払ができなかった場合、受取人は金融機関から換金を拒否され、代金を受け取ることができません。
これを「手形の不渡り」といいます。
手形が不渡りになった場合、受取人は振り出した相手に対して直接請求することができますが、回収できない可能性があります。
振出人である会社が6ヶ月以内に2回不渡りを出すと、銀行取引停止、当座預金取引が2年間出来なくなります。
当然、取引先からの信用も失い、会社の資金繰りが悪化して事実上の倒産となります。
会社が手形取引を行いたい場合、会社の取引銀行で「当座預金口座」を開設する必要があります。
当座預金口座は、普通預金口座と異なり、手形や小切手を決済できる専用の口座ですので、開設するにあたり審査が行われます。
従って、銀行からの信用がなければ手形取引を行うことはできません。
支払期日になれば手形を受け取った側は、手形を換金する必要があります。換金期間は支払期日を含む3営業日(銀行の3取引日)以内です。
例えば、支払期日が10月1日の場合は10月3日までです。土日祝日は銀行が取引をしていませんので、10月3日が土曜日の場合は10月5日が換金可能期間です。
また、手形が発行された銀行と換金する銀行が違う場合、換金手続きに1日かかりますので、1日前倒しで考えなくてはいけません。
もし、換金期間の間に手続きを行わなかった場合は、銀行では換金できなくなります。
手形を受け取ったら必ず支払期日を確認しておきましょう。
もし支払期日を忘れてしまいそうであれば、手数料は発生しますが支払期日前に銀行に手形を預けておく事もできますので、早い段階で銀行に預けておくと良いでしょう。
「ファクタリング」とは、会社が持っている「売掛債権」を譲渡して現金化する仕組みです。
売掛債権とは、商品を売ったり、サービスを提供したりしたもので相手に請求済みであるがまだ代金を受け取っていないため、将来代金を受け取ることができる権利のことです。
売掛債権は、支払う側の支払サイトによって現金になるまでにタイムラグが発生します。
債権を受け取る側の会社がすぐに現金化したい場合、ファクタリング事業者に売掛債権を売って、売掛金の支払サイト期日前に現金を得ることができます。
ファクタリングと手形取引は似たような仕組みで、どちらも回収予定の手形(債権)を担保として現金を得る方法です。
手形取引との違いは、手形取引では銀行に手形を譲渡して現金化しますが、手形が不渡りになった場合、銀行から手形を買い戻すように請求されます。
これに対して、ファクタリングはファクタリング事業者に手形(債権)を売れば、ファクタリング事業者が売掛債権を回収しますので、もし手形が不渡りになった場合であっても支払い義務は発生せず、リスク回避ができます。
もちろん利息など手数料は引かれますが、売掛金を早期に現金化できるため、キャッシュフローの改善が見込めます。
建設業では手形取引が慣例化されている業界もありますが、注文者から受注者への支払いで手形を使用する場合は、「120日以内で、できる限り短い期間」としなければなりません。
(1)請負代金の支払は、請求書提出締切日から支払日(手形の場合は手形振出日)までの期間をできる限り短くすること。
(2)請負代金の支払は、できる限り現金払とし、現金払と手形払を併用する場合であっても、支払代金に占める現金の比率を高めるとともに、少なくとも労務費相当分については、現金払とすること。
(3)手形期間は、120日以内で、できる限り短い期間とすること。
今後、手形取引そのものはなくならないものの、その数は減っていくと言われています。
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