一人親方は、会社とは雇用契約を結んでいません。
労動者として雇われているわけではありませんので、会社とは請負契約により請けた仕事に対して独立して業務を行います。
しかし、表面上は請負契約であるが、実態としては労働者である「偽装請負」としての問題が指摘されています。
どのような事かというと、会社が社会保険料や労働保険料を負担するのが困難で従業員を独立させ、一人で仕事を請け負っている形式にしてしまうというものです。
請負契約であれば、会社が社会保険料等を支払う義務がないからです。
働き方は会社の従業員であった頃と変わらないのに「請負」として働く一人親方は、会社にしてみれば社会保険料の負担もなく、必要な時だけ雇えばいいというとても便利な存在です。
しかし、独立させても会社の就業規則に従わせたり、従業員であった頃と仕事の内容はほぼ同じだったりするのであれば、実質的に「労働者」に近い働き方として認定される可能性があります。
つまり、請負契約の形式であったとても実態が労働者として認定されれば、会社は雇用主として社会保険等に加入する義務が生じます。
また、近年では就職できないからという理由で、やむなく一人親方になる場合もあります。
このような場合も請負契約という形を取ってはいるものの実際は日雇い等、日給制で賃金が支払われていることも多くあります。
「偽装請負」の問題点は、誰に責任があるのかその所在が不明確であったり、報酬・賃金の支払いが適性に行われなかったり、建設現場で事故や怪我をした際の補償が受けられない場合があること等が挙げられます。
契約形態をもって直ちに「偽装請負」となることはありませんが、「請負」なのか「雇用」なのかの線引が曖昧な場合は、専門家である社会保険労務士へご相談ください。
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